乳香(フランキンセンス)と没薬(ミルラ)

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薫香と香油

昔から人と香りは密接な関係で存在していました。
植物を焚いてその煙(香り)を捧げるという「薫香」をしていたり、ミイラ作りに防腐剤としての効果がある植物(没薬)を使用したりしていました。

また、人々が楽しむために生まれたのが、温めた油に香り成分を移す「香油」です。この「香油」は香りを楽しむだけでなく、マッサージをする際に用いて自然治癒力を高めるためにも利用されており、医療行為のひとつとして認知されていたようです。
古代の人たちは、アロマテラピーをすでに医療行為として捉えていたことに驚きです。

乳香(フランキンセンス)

古代の人は、乳香を「聖なる香り」として大切にしたそうです。
乳香はフランキンセンスといってほのかな甘さと爽やかさが混ざった香りです。樹液はミルク色で樹脂になると黄味を帯びています。古代から祈祷や宗教上の儀式等で薫香として使われたり、聖書にはキリスト誕生時に没薬とともに捧げられたという記述があります。乳香は「若返りの精油」として有名で、シワ予防も期待できる優れものです。また、香りを長持ちさせる保留剤としての役割もあります。

没薬(ミルラ)

没薬も「優れた薬」として乳香同様に大切にされました。没薬はミルラといってエキゾチックなかつスパイシーな香りです。タンスの中に入れて防腐剤として使われていたり、アーユルベーダでは強壮と長寿の薬の処方に入っているようです。乳香とともに心を落ち着かせ、心身の浄化作用があるといわれ、瞑想に使われてきた香りです。
ひとつの香りが心に響き肌を若返らせる、呼吸器や筋肉痛にも働きかけて楽にしてくれる優れものです。

植物を薬草として

香りを辿って行くと、古代の人々が遺してくれていったたくさんの書物にもぶつかります。
医学書や博物誌、薬物誌がそうです。

アロマテラピーの歴史の大部分は、医学・薬学と歩みをともにしてきたようです。
植物を薬として用いながら、症状や痛みを和らげてきた植物療法。医学の父であるヒポクラテスは芳香植物を薬として用い、香油の塗布およびマッサージ、沐浴、散歩、体操などを指導しており「マッサージによって緩すぎる関節を引き締め、硬すぎる関節を緩めること」といっております。この考え方は現在にも通じるホリスティックな観点ですね。

香りの特徴

香りのある植物は抗菌作用を持つことが多いので、香りが精神を落ち着かせるのと同時に場の空気を清める作用があると思われていたようです。
古くから寺院で線香が焚かれていたのも、そういった意味があったのですね。

また、香り成分には高いリラックス効果があり、心にも作用することが分かってきたので香りを楽しむ「香水」として発展していったようです。

では、日本での香りの文化はどうだったのでしょう。
次回は日本での香りの歴史を紐解いてみたいと思います。

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